INTERVIEW

コネクテッドカーを通じて
人々の健康に貢献する

FUMIYA
TAKAGAITO

高垣内 文也

サービス企画

プロジェクトマネージャー

経済学部 国際経済学科 卒業

[拠点:浜松本社]

「MR(製薬会社における営業)職から転職しました」と話すと、よく驚かれます。自動車メーカーと製薬会社とは、関連性の薄いイメージがあるからだと思います。

ですが、まさにそのクルマと医療の融合から新たなサービスを生み出すのが私の仕事。コネクテッドカーから収集されるデータを人々の健康向上に活かすプロジェクトに携わるため、スズキに転職しました。

昨今、高齢者ドライバーによる交通事故が目立ちます。その中で運転免許証の返納を迫られ、生活の足を失いつつある方も増えています。そうではなく、できるだけ長く、安全な運転をし続けられる社会のあり方もあって良いのではないでしょうか。とくに私は認知症の祖母を介護した経験から、認知機能の低下を防ぐことへの使命感があります。

新卒から約10年間、医薬品産業に関わった経験を活かしてより大きな社会貢献をしたい。大学病院や行政との連携を深めながら、社会課題の解決に向けた新規事業の創出を急ぐ日々です。

PROFILE
  • 2020

    スズキ入社。コネクテッドセンターにてヘルスケア×モビリティの新規事業開発を行う。
    入社前は外資系製薬会社でMR職として循環器・糖尿病・呼吸器などの薬剤を担当。
    中枢神経領域の専門部隊、大学病院の主担当などを経てグローバル採用・人事に携わる。

  • クルマと医療の融合で新たな未来を切り拓く

    「ヘルスケア×モビリティ」の新たな可能性を探索し、新規事業の立案から仮説検証、事業化までを行うのが私の業務です。医療とクルマの融合と言えば、病院への送迎や診療車両の配車サービスを思い浮かべる人が多いかもしれません。私たちはその枠に捉われず、コネクテッドカーから収集したデータを人々の健康づくりに活かす技術の確立を目指しています。

    新卒から約10年間、MR職に従事した経験がきっかけとなり当プロジェクトへ参画しました。製薬会社から自動車メーカーへの転職は大きなチャレンジでしたが、人々の健康に貢献するチャンスと考えての決断です。

    医療に関連したサービスの立ち上げは難易度が高く、とくにサービスの有効性を立証するまでに多くの時間を要します。データの裏付けを得るために、学術研究分野からの協力者も必要です。私は2020年の入社以来、プロジェクトの責任者としてPoC*の準備を重ねてきました。1年半を要してようやく研究体制が整ってきたところ。事業化への道のりは、ここからが本格的なスタートです。

    *Proof of Concept|新たなビジネスアイデアの有効性を測る仮説検証

  • 介護を経験した自分だからできる社会貢献の形

    新卒で製薬会社に就職したのは、社会貢献につながる仕事に就きたかったから。大学時代に途上国を旅したことがきっかけでした。貧困の中にあって、学校に行きたくても行けない子どもたちと出会ったのです。世界をより良くできる仕事がないかと調べたところ、製薬業界はCSRに積極的で社会貢献色が強い業界の一つだと知りました。

    中でもドクターのパートナーとして、患者さんの治療を手助けするMRの仕事にやりがいを感じました。途上国を支援する国際組織や民間企業ではなく、あえて製薬業界に飛び込んだのにはもう一つ理由があります。それは、学生時代に介護を経験したこと。大学2年生の時に一緒に暮らしていた祖母が認知症を患い、働きながら祖母を看ていた時期がありました。

    自分が苦労したからこそ、認知症に向き合う人たちの苦労を軽減したいと強く思います。製薬会社に入社1年目には自社から認知症の進行を抑える薬が発売され、私も取り扱うようになりましたし、患者さんに最適な治療の提案をするよう常に心がけていました。ドクターの治療のパートナーになりたいという想いは今も変わりません。運転という日常の行為を通じた疾患の早期発見や健康の向上へ貢献していけたらと思います。

  • 責任を持って事業化を進めるということ

    PoCを進めるにも準備や調整に時間がかかりますし、PoCの結果、ビジネスアイデアが振り出しに戻ることもあります。それでも、仮説検証を経なければ事業化は進められません。被験者の母数が必要なことやデータの質も重要であることなど、新規事業に対する周囲の理解を少しずつ得る必要がありました。

    意識したのは、大学病院や行政との連携を深めること。初回のミーティングから上司にも同席してもらいました。すると、関係者の中に社会課題に立ち向かう意識が芽生えていき、社内外にコンセンサスが取れるようになったのです。ある時を境に、「スズキさんの事業に協力したい」と言ってもらえる機会が増えました。

    「コネクテッドセンターが取り組んでいるのは、社会課題を解消するための新規事業。だからこそ時間がかかってもやるべきだ」。今では、そのような意見を他部署からももらえるようになったと感じます。こうした機会に携われていること自体がありがたいですね。社内外のコンセンサスを得ながら、事業化を一歩ずつ進められていることにやりがいを感じています。

  • 運転寿命の延伸で悲しい交通事故をなくしたい

    今でも認知症には特別な思い入れがあります。昨今、認知機能の低下が見られるご高齢の方が交通事故を起こしたというニュースを知ると、どうしても人ごとに思えません。ご高齢の方であっても、できるだけ長く快適に運転し続けられる世の中を創りたいものです。

    そのためには、安全にクルマに乗れる“運転寿命”を伸ばすこと。とくに浜松のように日常の移動手段がクルマ中心の社会では、どれだけ長く健康に運転できるかは重要課題です。ひとたび移動が不自由になれば、生活が不便になり、心身にも不調がでやすくなるためです。運転寿命を伸ばすことは、健康的に自立した生活が送れる“健康寿命”の延伸にも寄与します。今後は運転寿命の延伸にもチャレンジしたいと思いますし、そうしたチャレンジができるのもコネクテッドセンターならではの魅力です。

  • 暮らしに丁度いいまち、浜松

    浜松に引っ越してきて驚いたのが、大らかで優しい人が多いことです。入社して間もない頃から、業務知識を丁寧に教えてもらう場面がたくさんありましたし、プライベートでも温かく接してくれる人がとても多いと感じます。東京と大阪の中間地点にあって、どちらにも行きやすいロケーションも気に入っています。暮らしやすいまち、それが浜松かなと思います。

    ※部署名、内容はインタビュー当時のものです。