

PERSON
スタートアップとの共創を推進し、
技術とお客様の架け橋に
NAOKI
SAITO
齊藤 直樹
企業探索・出資
機械工学部 材料工学科 卒業
[拠点:浜松本社]
二輪のエンジン設計者としてのキャリアも10年を過ぎた頃。品質や性能の追求に加え、より広い視野でものづくりに貢献したいと思うようになりました。社内ベンチャーの立ち上げに参画、経済産業省への出向など、行動を積み重ねる中で私がたどりついた答えは、スタートアップとの協業・出資という新たな挑戦でした。
パートナーとの共創を通じて実感するのは、スズキが長年培ってきた「小・少・軽・短・美(小さく、少なく、軽く、短く、美しく)」のノウハウこそが、持続可能な未来を実現する鍵だということです。2025年1月には、世界最大規模の展示会「CES(Consumer Electronics Show)」にも出展。「Impact of the Small(小さなモノづくりが、社会を大きく変える)」というコンセプトは、多くの共感を呼びました。
技術への情熱と、社会課題解決への使命感。その両方を追求できる私たちの仕事についてご紹介します。
PROFILE
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2007
4月 スズキ入社。二輪エンジンの設計部門に配属。四輪バギー、電動スクーター、小型バイク、スポーツバイクまで、数年スパンで新型開発・モデルチェンジに対応する。
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2020
1月 社内ベンチャーの立ち上げに参画。プロトタイプ開発。
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2022
2月 経済産業省へ出向。ディープテック・スタートアップ支援政策と事業会社のイノベーション政策に従事する。
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2024
2月 帰任に伴い、次世代モビリティサービス本部 スタートアップ事業開発課へ異動。スタートアップの探索・協業・出資に関する業務を推進するとともに、取り組みを世界に示すためのイベント運営も手がける。
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“小・少・軽・短・美”の行動理念が持続可能な社会を実現する
現在、私は、新規事業開発のための協業・出資業務を担当しています。具体的には、国内外のスタートアップを探索し、協業を検討。さらには出資を通じ、新技術やビジネスモデルの開発に取り組んでいます。
また、私たちの業務は出資後にもおよび、スタートアップと社内技術部門との橋渡しもサポートしています。スズキの技術者たちの胸にある情熱を背負い、次なる100年を築く事業開発に取り組んでいます。
スズキが協業・出資を行う理由は、単なる事業拡大のためではありません。社是の「お客様の立場になって価値ある製品を作ろう」に基づき、お客様の生活に寄添うインフラモビリティになることを目指して、時代の変化に合わせた製品を開発し、同時に、社会課題の解決に取り組むためです。
たとえば、Glydways(グライドウェイズ)社やSkyDrive(スカイドライブ)社への出資が印象的かもしれません。Glydways社とは、次世代の交通インフラ開発に取り組んでいます。軽自動車並みの小型電動車両を用いた個人用高速輸送システムを開発することで、エネルギー消費の極小化と、移動の効率化を両立させます。SkyDrive社とは、3人乗りの空飛ぶモビリティの開発を進めており、こちらも小型であることが特徴です。インフラ整備の負担を軽減しつつ、エネルギー消費を抑えた移動手段を提供します。
このように、スズキが小さなクルマづくりを通じて培ってきた「小・少・軽・短・美」の行動理念は、持続可能な未来の実現に欠かせないものだと考えています。そして、この行動理念は、他の事業会社の“大は小を兼ねる”という考え方とは真逆であることから、スタートアップの目にユニークに映るようであり、国内外の共感を呼んでいるのです。
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技術と事業化のギャップを埋め、市場との架け橋を
私がスズキを志望した理由は、バイク作りに携わりたかったためです。中学生の頃には自分の部屋に実物のバイクを飾り、大学時代はモトクロス競技に熱中するほどのバイク好き。念願が叶いスズキに入社でき、バイクのエンジンを設計する部署に配属されました。不具合やミスの許されない仕事に重責も感じましたが、設計の奥深さに魅了されるまで時間はかかりませんでした。ただ、仕事を一通り経験すると、「次は何を目指そうか」という気持ちも芽生えてきます。一方その頃、自動車業界は100年に一度といわれる大変革期に直面しており、スズキの社内でも新規事業創出の動きが活発になっていました。
たとえば、スタートアップの本場であるシリコンバレーでは現地研修が開かれていました。新規事業の開発手法である「デザイン思考」や起業マインドを学べるとあって、私も参加することに。受講して驚いたのは、デザイン思考では誰かの課題ありきで商品・サービスを検討することです。「顧客が抱える切実な課題(ペイン)」を見極めることがスタートであり、PDCAサイクルの速さも桁違い。私が慣れ親しんだプロダクトアウトのプロセスとは真逆でした。
ブートキャンプを受講した私は、社内ベンチャーの立ち上げにも参画。本社のある浜松の街頭に立ち、道ゆく人々にインタビューを行いました。ついに、明確な課題を発掘し、ビジネスアイデアを社内で発表。試作にも進みましたが、量産化の壁は乗り越えられず悔しい思いをしました。悔しさをバネに、その後、2年間にわたり経済産業省へ出向。スタートアップ創出事業や事業会社の新規事業支援に携わる中で、さらなる知見と人脈を得ました。帰任後は現組織への本配属を希望し、今に至ります。
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社会課題の解決に取り組む“仲間”を求めて
変化の速い今の時代において、スズキのブレない社是と迅速な意思決定は、事業開発の強みになっていると感じます。私たちの組織でも“巧遅より拙速”を大切にしており、ここに印象的だったエピソードが一つあります。
それは、私が着任して間もない頃。「CESへの出展を取りまとめてほしい」と指示をもらいました。CESといえば、世界最大級のテクノロジー展示会。スズキにとっては初出展となる一大イベントで、そのプロジェクトリーダーを任されました。開催まで1年を切る中、コンセプトの立案からブースの企画、当日の運営に至るまでを一挙に作り込んでいきました。経営陣を交えチームで何度も話しあいながら当日に漕ぎつけられたことは、スズキらしい出来事だったと思います。
心がけたのは、製品を並べるだけのブース作りはしないこと。「Impact of the Small」というコンセプトが作る未来を示すことで、それに共感する新しい仲間との出会いを重視しました。この判断は見事に成功し、たくさんの繋がりを得ることができました。
経営陣が理念を貫き、やるべきことも明確になった今。スズキは一枚岩となって事業開発を加速させています。世の中に必要とされるものづくりをしたい人にとって、またとない環境ではないでしょうか。次なる100年をともに作ってくれる仲間の参加を待っています。
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何でも揃う都会もいい。みんなで作る浜松もいい
浜松に来て感じたのは、ちょうど良い選択肢があるまちだということ。出向期間に家族で暮らした東京には選択肢が多すぎて、何かを選択する時にすごく迷いました。浜松では、子どもたちも「これが良い」と希望を教えてくれるのでうれしいです。それに、浜松はまちも人も元気です。コミュニティ活動が盛んで、一部の取り組みにはスズキも参画しています。これからのまちを作りたい人にとって「浜松も楽しい場所だよ」と伝えたいですね。
※部署名、内容はインタビュー当時のものです。